私の妹は、

 HIVに感染し、

 エイズという病気を発症して死にました。



 妹は、美人でした。

 姉の私とは比べ物にならないくらいの、

 素晴らしいルックスで、

 何度も嫉妬したことです。




 しかし、妹は勉強だけはできませんでした。

 ピアノも料理も、そこそこ…。

 私よりは確実に下でした。



 そんな妹が急に職につきたいと言いだしました。


「これ以上、お母さんには迷惑はかけられない」


 といって、聞かなかったのです。




 ちなみに、私の家は、母・私・妹の母子家庭で、

 他の家庭と比べて金を作るのが大変でした。



 そんなこともあってか、


 あんなに焦っていたのではないでしょうか。




――― つまり貴方は、亡くなった妹さんの事で悩んでいらっしゃるんですね?




 いえ、妹なんてどうでもよかったんです。


 それどころか、

 死んでほしいと祈るくらいでした。



 でも、この妹の死はただの死では無かったので、

 女の勘がどうしても働いてしまってね。


 まぁ、聞いていて下さい。



 妹は、いろんな仕事の面接に向かいました。

 面接の合間に精一杯勉強して、

 受験したい…

 という思いも少しはあったのかなと思います。



 でも、経済的に無理という事は一番妹が分かっていたのではないですかね。



 だから、何も言わなかった…。


 しかし、妹は受けた会社全ての面接に落ちてしまいました。

 このご時世、高卒でそれでいて、

 ろくな高校にも言っていないような小娘が、
 
 職につけると考える方が、

 おかしかったのでしょうか。