「ご……ごめんなさい!へ、変だよね。普段のこと知りたいとか……。プライベートなことだし、土足であがりこむみたいなこと……」
何度も謝罪をくり返す。
こういうことを聞くのは、もっと親密になってからのほうがいいのかもしれない。
(恋にうとすぎて、失敗した……かな)
がっついてるやつって思われたらどうしよう――。
オマエウザいとかいわれたらどうしよう――。
思いつく限りの「もし」を頭の中で大量発生させていると、彼は私を責めることもなく、「まあとにかく」とメガネをくいっと直した。
いつの間にか、いつもの雰囲気に戻っている。
「おたがいシンプルってわけだ」
奏は、さっき私がしたように、下から上へと視線をスライドさせた。
見られてるだけなのに、肌の上を実際に指か何かでなぞられてるみたいに感じて、体中がむずむずしてきた。
身をぶるっと震わせると、一気に鳥肌が立った。
「……ていうか……地味、だよね。やっぱり……」
「いや。いいんじゃね?動きやすいみたいだし」
「そ、そうかな……?」
「ああ。ミラーボールかよって感じの、キラキラな服着てるのよりマシ」
「ぷ……っ!」
彼の比喩が思いのほか絶妙で、私はつい吹き出してしまった。


