恋人 × 交換!? 【完】



「こんなにくっついてたら……」


「くっついてたら?」



立ち止まって、私を見る奏。



聞いてもらえるのはありがたいけど、ガッツリ私の話を聞きますよという体勢を取られると、それはそれでいいにくくて。



とたんに臆して撤退しそうなる声を、どうにか絞り出した。



「その……学校の子たちに見つかって……奏に……迷惑が……えっと――」


「くらだねぇ」



言葉をさえぎって、奏が私の頭に優しく手をそえて強引に引き寄せた。



「んっ……」



ぱふっと、肩のあたりに私の顔がくっつく。



「そんなのいいから、絶対オレから離れんな。そばにいりゃいい」


「だ、だけど――」


「返事は?」


「……う、うん」



重かった心が、急に空気どころか水素みたいに軽くなった。



私にいわれているのに、なんていうか、他人事のような気持ちだし。



奏と出会ってからの数日が、あまりに今までの人生と違いすぎるからかな――。



私って、一生どころか「来世の運」まで前借りしてるのかもしれない。



借りたつもりはないけど。



「行くぞ」



結局、人目もはばからずに、私は彼にくっついたまま、「帰り道のふたりきり」を過ごした。