「い、いいの?」
「ダメなの?」
奏に質問返しをされて、答えに窮した。
コーヒーは大好きだし、決してダメというわけはないけど、「私の」として別で買ってもらったものでもない。
つまりは、正確にいえば「飲みかけ」なわけで。
(これって……アレ、だよね……?)
どんなに角度を変えて解釈しようとしても、結果、この状況は「アレ」だ。
初恋とかをテーマにしたベタなドラマでよく見る、アレにそっくりだった。
「甘すぎなんだよそれ。オレミルク入りの糖類ゼロがいいけど、自販機にあんまねぇし」
「アレ」のことなんて意識もしてないような何食わぬ顔で、彼は歩き出した。
意識しまくってる、私をつれて。


