「覚えてるか?駅前で服の話してるとき、オマエが、『ふだんの生活が気になる』っていったこと」
記憶はあった。
初デートで、服を同じショップで買ってるという会話をしてて、たしかにいった。
「あのときの奏、ちょっと様子変だったよね?」
そうだ――。
あのころから、たまに暗い表情を見せるようになってたんだった。
「ああ……オマエがオレの……外見じゃない部分をのぞいてくるから……」
奏の顔がゆっくり下を向いた。
ネックレスが垂れて、ペンダントがメトロノームみたいに、チクタクと揺れる。
私は、左右に振れるそれをなぜか注視しながら、彼が言葉を継ぐのを待った。


