「奏……」
「とまあ。ここで終われば、女運が悪いだけって軽く思えたんだけどな……」
口ごもった彼は、ややおいていった。
「別れたあと、その女が陰口いってんのを聞いたんだ。『千住奏に捨てられた。あいつは顔がいいだけで調子に乗ってる最低人間だ』って」
「…………!?」
「陰口っつうか、嘘の吹聴だな。復讐だったんだろ」
「別れた、復讐……」
「もともとオレのことをよく思わねぇ男子たちも手伝って、嘘は信じられた。んで、だいぶ長い間、クラスのやつらとかにハブられた」
「無視って……それって……」
「そうだな。端的にいえば『いじめ』。囲う女たちも、いなくなった。波みたいに引いて、気配の足跡すら消してった。笑えるだろ」
ひどい――!!
奏が、元カノにそんな仕打ちを受けてたなんて、思いもしなかった。
私がそんなことされたら、きっと、ていうか絶対、トラウマになって立ち直れない自信がある。


