問いかけると、奏は「ああ」とつぶやいた。
「当時のオレは、まだ今みたいに強くなかったからな……。どっちかっつうと、拓人と似たような、ひ弱な感じだった」
「え……!?そ、そうなの?」
以前の奏が、拓人さんみたいな性格だったなんて。
イメージがわかない。
「最初からこんなだったらおかしいだろ、普通。物事には理由があるもんだし」
「そっか……そうよね」
いわれてみれば、たしかに。
わけもなく、幼いころ俺様で身勝手な性格だったら逆におかしいかも。
「けど、いよいよ耐えられなくなってな。勇気出して、別れてくれっていった。そしたら、『なんで私がフラれなきゃいけないわけ?』って逆ギレ。それでもずっと頭下げてたら、根負けしたのか、帰ってった。はは」
今日初めて見せた、奏の笑顔だった。
笑顔と裏腹に、目に宿る力は儚げだけど……。


