「いい……。それより、手紙……読んだ」
メガネを返しながら、私はすぐに本題へ斬りこんだ。
「悪いな」
拾ってくれたお礼か、読んでくれたお礼か、彼はいった。
かけ直して、しばらくふたりとも無言が続いた。
そばにある、名前の知らない大きなご神木の葉が、風にざわざわと揺れる。
神社の外で、自転車のブレーキと、車の通り過ぎる音が交差する。
神聖な場所にいるからなのか、ここだけ時間がゆっくり流れている気がした。
「とりあえず……座るか」
奏の言葉に、私は従った。
拝殿前の階段で、彼と少し距離をとったところに座った。


