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それから、どれくらいの時間が経ったんだろう。
窓から差しこむ陽の色が変わってきたのに気づいて、夕方だということは理解できた。
(お母さん、帰ってくる……)
拭いもせずに流した涙が乾いたせいで、頬がパリパリになって痛い。
顔を洗って夕食の準備をしておかなきゃと、幽霊みたいにユラユラ歩いて1階のリビングへ。
――ザアァァァーッ!
シンクで手を洗って顔を濡らしていると、チャイムが鳴った。
水を止めて、フェイスタオルで顔を覆いながら玄関へ向かう。
すると、ドアの向こうから声がした。
『こんばんは。百合岡さんと同じクラスの、千住奏と申しますが』


