にぎやかな雑踏のすき間から、カラカラカラ、とテンポの速い下駄の音が聞こえて、ミッチがやってきた。 そばには、やや焼けた肌の短髪の、体育会系の男子がいる。 1つ上の彼氏だろうか。 「やっぱ、きてたんだね……ん?この人誰?千住奏は?」 矢継ぎ早の質問に、私はうんともすんともいえなかった。 「お~い。マドカ~?」 「…………」 今の私は、出店の鉄板みたいに湯気をたくさん出してるに違いない。 誰からの言葉も、耳に入っては、すぐに蒸発してしまって答えられなかったから――。