「ん?ぼくの顔に何かついてる?」



私の疑わしい視線に気づいたのか、拓人さんは自分の顔を手で触った。



わざとらしい。



「あ……いえ……何もついてません」


「そう?ならよかった」



にこっと咲かせる笑み。



軽くできる「えくぼ」が特徴的で、口調とおだやかな仕草からして、奏とは対照的なイケメンだった。



例えるなら、まさに王子様タイプ。



(仕掛け人に決まってる……)



そうじゃなければ、こんな王子様が私なんかと恋人になるはずがない。



(でも……奏……本当なの……?本当に私のこと……もう……)