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7月初旬の放課後。
「もぉ……。あんなにのろけなくても」
私は、イライラというより、うんざりに近い気持ちを抱えながら、帰り道を歩いていた。
理由は、いちばんの友達である、美智――ミッチ――にあった。
彼女には最近、ひとつ年上の恋人ができたのだけれど。
その彼氏と早くも「初キス」を経験したらしく、
『ねーねー!マドカ、あのねあのね――』
という感じで、朝からハイテンションで滝のように喋り始めて。
放課後までずうっと、消し忘れたウォークマンみたいに延々リピートだったのだ。
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