。● 7月初旬の放課後。 「もぉ……。あんなにのろけなくても」 私は、イライラというより、うんざりに近い気持ちを抱えながら、帰り道を歩いていた。 理由は、いちばんの友達である、美智――ミッチ――にあった。 彼女には最近、ひとつ年上の恋人ができたのだけれど。 その彼氏と早くも「初キス」を経験したらしく、 『ねーねー!マドカ、あのねあのね――』 という感じで、朝からハイテンションで滝のように喋り始めて。 放課後までずうっと、消し忘れたウォークマンみたいに延々リピートだったのだ。