。●
「大丈夫?円ちゃん」
「…………」
浴衣男子――拓人さんの声に、私は反応できなかった。
今の状況を把握するのに、とにかく全力を注いでいた。
「ここでじっとしてたら、みんなの邪魔になるから、ひとまずあっちに行こうか」
私の背中にそっと手をそえて、エスコートするように参道のわきに移動。
(……なんで……なんで、恋人交換なんてするの……?)
奏を追うように鳥居に目をやる。
でも、さらに多くなってきた人の出入りで、その気配すら消えていた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…