。● 「大丈夫?円ちゃん」 「…………」 浴衣男子――拓人さんの声に、私は反応できなかった。 今の状況を把握するのに、とにかく全力を注いでいた。 「ここでじっとしてたら、みんなの邪魔になるから、ひとまずあっちに行こうか」 私の背中にそっと手をそえて、エスコートするように参道のわきに移動。 (……なんで……なんで、恋人交換なんてするの……?) 奏を追うように鳥居に目をやる。 でも、さらに多くなってきた人の出入りで、その気配すら消えていた。