「……え?」



文字通り、きょとん、としてしまった。



生まれてからずっと聞いて育った「日本語」のはずなのに、何をいってるのかまるでわからない。



「い、意味わかんないんだけど……」


「意味を教えないからこそ、意味あんだよ」


「……は?」



混乱する私をよそに、見知らぬふたりが近づいてきた。



「こっちが伊藤拓人。こっちが美島古都。ふたりはオレのちょっとした知り合いで、恋人同士」



「こんばんは」



紹介された浴衣男子――拓人さんが声をかけてきた。



背は奏より少しだけ低い程度で、男子としては高めで、バレーとかが似合いそうな爽やかな雰囲気。



私を見つめる目はブラウンがかっていて大きく、まつげがくるんと上向いてる。



「どうも。1週間、彼氏、借りるね」



もうひとりの浴衣女子――古都さんが、挑発的に髪を手でときながらいった。



落ち着いた雰囲気でいて、私と真逆に色気があって、なんというか、「余裕」があるという感じ。