言葉を続けたかったけど、飲みこんだ。
いくら距離が縮んだとはいえ、まだ合鍵をもらっていない、チャイムを鳴らしてやっとあがれるくらい。
千住奏は、まだまだ謎が多い人……。
だったらせめてと、私はこの距離感で自分ができる精一杯で、あるイベントに誘ってみることにした。
「あの、ね……」
「ん?」
スクールバッグを持ち替えて立ち止まり、ぎゅっときつく抱きしめる。
「8月のちょうど登校日の夜に、その……夏祭りがあるんだけど……」
「だから?」
察したのか、彼はバッグごと私を横から包みこむ。
会話に慣れてきたとはいえ、このさりげない不意うちは例外だ。
私は、少しだけどもってしまった。


