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(あれ……ここって……)
意識を取り戻すと、私はなぜだか横になっていた。
真っ先に自分の家かと予想したけれど、天井の模様がまるで違う。
「んっ!」
重い身体をゆっくりシーツからはがし起こすと、そこは「モノクロの世界」だった。
壁は白で、シンプルな黒い机にスタンドライトとノートパソコン。
そばの書棚には、文庫タイプの小説とかがずらっと並んでいて、その背表紙だけが、モノクロの中の紅一点的な、カラーだった。
首を伸ばして見えた窓の外の景色からして、高層のマンションらしい。
(てことは、ここ、誰かの部屋、かなぁ……)
不思議に思いながら、髪を手ぐしで直そうとしたとき。


