私の脇から手を通して、奏が軽々と抱きかかえてくれた。
お姫様抱っこの形になり、普段の私なら恥ずかしさがこみあげてくるところだけど、今はダルさが勝って、楽な体勢がただただ、ありがたかった。
(それにしても、意外と力、あるんだ)
ぼんやりした頭で、他愛のない感想を浮かべていると、
「マドカ……!!」
聞き慣れた声が飛びこんできた。
ミッチだ。
「ちょっと……アンタ、大丈夫?」
走り寄ってきて、私の顔を超至近距離でのぞきこむ。
「う、うん……風邪、かな……」
「ほんと。顔色がマジ悪いよ……どうする?保健室、行く?」
「行かねぇ。帰るわオレら」


