ガッカリしていると、壁にもたれ掛かっていた陽谷くんがもそっと動き出した。
曲がサビになる。
それと同時に皆と同じ動きで陽谷くんが踊りだした。
もちろん怠そうな顔で。
怠そうなのにしっかりと動いていてキレがあるダンス。
やっぱり踊る陽谷くんはレアだった。
あとは本番の前夜祭が楽しみ。
「沙夜っ?何ニヤニヤしてんの!?」
ダンスに見入っていた私は澄音に肩を掴まれてビクッとした。
「…陽谷くんってダンス踊れたんだねー」
「だからぁ、踊れるって言ったじゃんか〜」
やれやれ、とジェスチャーをした。
「そんなん分かんないじゃん?」
踊れるか、踊れないかなんて。
