ちょっと疲れて廊下にフッと目線を外した。

あ…



陽谷くんだ。
…可愛いな。
でもどこと無くかっこよさもあって。


陽谷くんを見つけると同時に胸がキューっとなる。

きっと彼に対する母性本能だろう。


ゔーー
と横から唸り声が聞こえて目線を元に戻すと


「沙夜が自分で気付くまで放っておくとするよっ」

納得いかない様に澄音が私に言った。


何言ってんだこの子は…と思いながら適当に返事しておいた。


そんな私の頭の中は陽谷くんの笑顔でいっぱいで。

それはもう、息子を思う母親みたいな思いに浸っていた。