前日の夜に

新聞紙でこしらえた、大きなテルテル坊主を、社宅の軒下にブラ下げ

どの子供にとっても

なかなか寝付かれない、長い長い夜が始まる。

布団の中から、10分置きに、枕元の目覚まし時計を見て

しまいには、時計を揺すったり、叩いたりして

夜光塗料の針を、何とか早く進ませようとする。

初めての遠足を待つ一年坊主などは

リックサックの中に入れた、規定内のお菓子をつまんで食べては

おやじやお袋にどやされ

あげくは、リックを背負ったまま眠り

もっと上をいく者は、靴まではいて眠っている。

ほとんどの小学生が、朝早く目が覚めて

服を着込んで、リックを背負い

ご馳走を作る母親を、横目に見ながら

狭い家の中を、ウロウロと歩き回っていた。