幼稚園は、ここだけではない。

町の商店主の子供や、医者の子供

更には、炭坑の職員で、東京から来ている、偉いさんの子供達が通う

おとぎの国のお城みたいな、可愛い幼稚園があった。

我々、炭坑夫の貧乏たれの子供が行く、松原幼稚園と違い

格好からして、アカ抜けしていた。

我々の方は、紺色の上着で、町の幼稚園と色が同じだから

その点では、負けてはいなかったが

彼らは、大学生の様に、飾りがぶら下がった、四角い帽子をかぶり

何と言っても、最大の違いは

我々が、ゾロゾロと歩いて行くのに対し

彼らは、ロバに引かせた馬車が、自宅まで迎えに来るのだ。