「何言ってんの?天音……。」

「沢渡さんのは正論だよ……?志紀が選んだならそれで、いいよ」



震えそうになる声を抑える。

ここでそんな声を出せばきっと…泣いてしまうから。



「分かってくれたならいいよぉ。

それじゃ、真綾これからデートだから!」

「は!?」

「志紀クン入院中だしぃ、浮気し放題だよねぇ。じゃあバイバーイ」



沢渡さんが出ていってすぐ、私達の間に沈黙が走る。




「……天音。

あんた知らないの?」

「え?」

「そのお間抜けな頭でよく考えなさい。


…あいつが事故にあった日…



あんたになんて言っていたのかをね」



なんて言っていたか―……?


「それじゃ」


麗子は手を振り、帰ってしまった。

夕陽があたり赤い教室には、私一人が残された。