「てめぇだな、まだオタマジャクシだった頃の俺たちをすべて食っちまった、憎きヤゴは!そうだ、たとえオマエの姿が変わろうと、オマエが水色メガネをつけようと、オマエがヤゴである限り、俺はオマエを忘れたりはしない!」


 俺は怒りに任せて、オニヤンマに怒鳴りつける。


「いや・・・俺、ヤゴじゃなくて今はトンボなのだが・・・。」


「フッ・・・細かいことを気にするな、オタマジャクシが後ろ足から生えるのは常識さ。」


 言うと、俺はニヤリとニヒルな笑みを浮かべた。


「・・・・・・・なんだか、よく分からないが、ムカつくやつめ。いいだろう、そこまで言うなら勝負してやる。表に出ろ!」


 言うが早いが、店の外に出る、俺とオニヤンマ。


 荒野の風が俺たちを吹き付けた。