そして俺は表面的な大和のすごさに目を奪われて、戦後の兵器の発達の事をすっかり忘れていた。レーダー、追跡ミサイル、コンピューター制御の対空機銃などなど。これらの最新鋭兵器で武装した現代のイージス艦にかかれば、第二次世界大戦当時の戦艦なんて射撃訓練の恰好の的にしかならない。
 そう、俺は基本的には、六十年以上前の、現代においては時代遅れの代物でしかない兵器の性能を「正確に再現」してしまったのだ。

 この長々とした解説は大和から脱出したラミエルの球体の中で聞いていた。こっちが先に主砲をぶっ放したものだから自衛隊も遠慮なく反撃出来る。
 いや現代の兵器のすごいのなんの。どうやら前方のイージス艦は俺達の注意を惹きつけるための囮だったらしい。ミサイルの雨はなんと後方から降り注いで来た。そっちのイージス艦は水平線の向こう、俺達からは見えないはるか遠くから正確に大和めがけてミサイルを命中させたのだ。
 航空自衛隊も負けてはいなかった。戦闘爆撃機が空からもミサイルの雨を降らせる。
 艦橋が被弾するにおよびついに俺達は大和を捨てて、ラミエルの球体で海中に飛び込んでその場から潜行しつつ離脱した。ひらたく言うとほうほうのていで逃げ出したのだった。
 そして俺達の大和は、自衛隊の猛攻撃を受けてわずか三十分で再び海の藻屑と化し、沈んで海底に消えていった。