「奥義、発動!」
麻耶が重々しい口調でつぶやき、木刀の柄に右手をかけた。そして木刀を目にも止まらぬ速さで腰から抜きながら叫んだ。
「天翔(あまか)ける!」
いや、本当に木刀が消えてしまったかと思えるほどのすさまじい速さだ。麻耶の右腕もぼんやり霞んで見える。それほどのスピードだ。だが、相手はそれをとっくに読んでいた。メイドはあの女伯爵を軽々とお姫様だっこの形で抱え上げてまた宙に飛び上がる。その脚の下で麻耶の木刀がむなしく空を切る。
や、やっぱりダメか。天才麻耶の力を以ってしても……だが、次の瞬間あれほど冷静だったメイドが初めて小さな悲鳴を上げた。
「な!吸い込まれる!」
伯爵を抱いたままメイドの体はなぜか、麻耶の方に磁石で吸い寄せられるように少しずつ引きずり降ろされているように見えた。麻耶は空を切った木刀を持ったまま、軸足を中心に全身を回転させ、ちょうど180度回ったあたりでまた叫んだ。
「龍の!」
そうか!木刀があまりの高速で通過したため、その場所が一時的に真空状態になり、そこへ猛烈な空気の流れが生じてメイドの体を吸い込んでいるんだ。なまじ空中に飛び上がったから空気の奔流に抵抗する術がない。
一撃目はわざと相手にかわさせ、真空に相手が吸い込まれて元の場所へ引き戻された時、一回転してさらに威力を増した刀身が……そういう技だったのか。元の位置まで引きずりこまれたメイドめがけて麻耶の一回転した木刀が迫る。そして麻耶は最後の気合の声を放った。
「ときめき!」
いや、それ、技の名前がビミョーに間違ってないか?龍がときめいて、どうするんだ?
だが威力は絶大だった。腕に抱えた主人への直撃を避けようとメイドはとっさに体をひねった。だが、それが彼女に出来る最後の、そして唯一の行動だった。一回転して威力を増した麻耶の木刀がメイドの背中に激突した。その衝撃はメイドの体を突き抜けて、女伯爵の肉体にも伝わったらしく、彼女も苦しげな悲鳴を上げた。
そして二人の体はそのまま軽く10メートル、崖の方へ吹き飛ばされた。そのまま砂浜に倒れ込んで二人ともピクリとも動かなくなった。そしていきなり二人の姿は音もなくスッと消え去った。
麻耶が重々しい口調でつぶやき、木刀の柄に右手をかけた。そして木刀を目にも止まらぬ速さで腰から抜きながら叫んだ。
「天翔(あまか)ける!」
いや、本当に木刀が消えてしまったかと思えるほどのすさまじい速さだ。麻耶の右腕もぼんやり霞んで見える。それほどのスピードだ。だが、相手はそれをとっくに読んでいた。メイドはあの女伯爵を軽々とお姫様だっこの形で抱え上げてまた宙に飛び上がる。その脚の下で麻耶の木刀がむなしく空を切る。
や、やっぱりダメか。天才麻耶の力を以ってしても……だが、次の瞬間あれほど冷静だったメイドが初めて小さな悲鳴を上げた。
「な!吸い込まれる!」
伯爵を抱いたままメイドの体はなぜか、麻耶の方に磁石で吸い寄せられるように少しずつ引きずり降ろされているように見えた。麻耶は空を切った木刀を持ったまま、軸足を中心に全身を回転させ、ちょうど180度回ったあたりでまた叫んだ。
「龍の!」
そうか!木刀があまりの高速で通過したため、その場所が一時的に真空状態になり、そこへ猛烈な空気の流れが生じてメイドの体を吸い込んでいるんだ。なまじ空中に飛び上がったから空気の奔流に抵抗する術がない。
一撃目はわざと相手にかわさせ、真空に相手が吸い込まれて元の場所へ引き戻された時、一回転してさらに威力を増した刀身が……そういう技だったのか。元の位置まで引きずりこまれたメイドめがけて麻耶の一回転した木刀が迫る。そして麻耶は最後の気合の声を放った。
「ときめき!」
いや、それ、技の名前がビミョーに間違ってないか?龍がときめいて、どうするんだ?
だが威力は絶大だった。腕に抱えた主人への直撃を避けようとメイドはとっさに体をひねった。だが、それが彼女に出来る最後の、そして唯一の行動だった。一回転して威力を増した麻耶の木刀がメイドの背中に激突した。その衝撃はメイドの体を突き抜けて、女伯爵の肉体にも伝わったらしく、彼女も苦しげな悲鳴を上げた。
そして二人の体はそのまま軽く10メートル、崖の方へ吹き飛ばされた。そのまま砂浜に倒れ込んで二人ともピクリとも動かなくなった。そしていきなり二人の姿は音もなくスッと消え去った。



