俺の彼女はインベーダー

 次の瞬間、彼女の姿が魔法の様にその場から消え去った。何が起きたか分からず茫然と突っ立っている俺の足元の砂に、ガガガガガッという音とともに何かが突き刺さった。驚いて目をこらすと、それはそれぞれ五本ずつの銀のナイフとフォークだった。食事に使うあれだ。それにしても、なんで食事用のナイフとフォークなんだ?
 上からこれが降って来たという事は……俺が何気なく上を見上げると、まるで空を飛んだかのように例のメイドが俺めがけて降下してきていた。いや、俺じゃない、狙いは多分小夜ちゃんだ。俺は小夜ちゃんを抱きかかえて体でかばおうとしたが、避けきれるものじゃない。あきらめかけて目を閉じた瞬間、金属同士がぶつかり合う鋭い音がした。
 おそるおそる目を開けると、桂木二尉が俺たちの前に立ちふさがり、自動小銃の銃身でメイドの繰り出したナイフを受け止めていた。二尉はそのままの姿勢でそのメイドに言う。
「あなた何者?ただのメイドじゃないわね」
「いえ」
 メイドはそう答えて、一旦後ろへ飛び下がる。
「あくまでメイドですから」
「ただのメイドに、今みたいな事が出来るはずないでしょ?」
「ゴーストハイブ家のメイドたる者、この程度の事が出来なくてどうしますか」
 桂木二尉は自動小銃の銃口をメイドに向けて躊躇なくフルオートでぶっ放す。が、メイドの姿はまたしても一瞬で視界から消えた。二尉は信じられない素早さで自動小銃の弾倉を交換し、銃を構え直す。
 その二尉の真横にあのメイドが上から降り立つ。やはりまた宙に飛んでいたか。銃口を向けようとする二尉にメイドは余裕しゃくしゃくの口調で告げた。
「マドモワゼル、引き金を引く前に、銃口の先をご覧になった方がよろしいかと……」