俺の彼女はインベーダー

 念のためにコンパクト型スパコンで今が何年か確認していたラミエルが素っ頓狂な声を上げて俺に駆け寄って来た。
「早太さん、変です。これを見て下さい」
 スパコンの画面を覗き込むと「1864」と表示されている。俺はポケットから小型の日本史年表を取り出して確かめる。文久4年は二月に元治という年号に改元されていて、西暦では1864年にあたる。
「ラミエル、別に問題ないじゃないか。1864年で合ってるぞ」
「いえ、そうじゃないんです。よく見て下さい」
 俺はもう一度画面の数字を見つめた。やはりそこには「1B64」と……ん?イチ、ハチ、ロク、ヨンじゃなくてイチ、ビー、ロク、ヨン?なんだ、こりゃ?横から覗き込んだ桂木二尉も気づいた。
「なるほど。歴史上存在しなかった年号になっているわけね。どうやら、あの二人の言う通りこの時点から歴史が変わり始めているんだわ」
「ちょっと、兄貴に桂木さん!あれ見て」
 麻耶がそう叫んで遠くを指差す。次の瞬間、俺は開いた口がふさがらなくなった。それは全体としては確かに江戸の町の風景だった。しかし、その真ん中をなんと高速道路らしき物が横切っている。
 その周辺にはSFアニメに出てきそうな超未来的なビルがところどころに立っていて、そして道路の先には高さ20メートルはあろうかという巨大なタワー。そしてそのタワーのてっぺんには直径10メートル近い、これまた巨大な銀色に輝く球体が乗っていた。
 俺はラミエルたちに訊いてみた。
「あの球体は何だ?」
 ラミエルも唖然とした表情で腕組みをしながら答えた。
「あれは……わたしにも分かりません。江戸の町の一角に未来都市……そして銀色の球体……」
 サチエルも同じ姿勢でそれを眺めながらつぶやく。
「銀色の……球……」
 ユミエルも、以下省略。
「ギン……タマ……」