俺の彼女はインベーダー

 俺たちのイヤホンから麻耶のいら立った声が響き、2号機が右腕を振り上げる。すかさず桂木二尉がマイクに向かってわめいた。
「だめよ!麻耶ちゃん!この子たちは民間人なのよ!」
「そ、そんな事言ったって……」
 だが2号機は動きを止めた。いや止めざるを得なかった。俺はマクスウェルの魔女たちに向かって声を張り上げた。
「おい!これはおまえたちの仕業か?」
 勝ち誇った笑みを顔に浮かべ、1号サチエルが答える。
「ええ。これがわたくしのいもうと、ユミエルの力でしてよ。こんな野蛮な星の原始人を操るぐらい、この子には朝飯前ですわ。これでその目障りな兵器の2台目も始末出来ますわね。オホホホ」
 そうか!やはりラミエルの読みは当たっていた。テレパシーを使っての脳波転送、それをサンシャイン60のテレビ電波再配信アンテナを通じて行っていたわけか。しかし、なぜ全員若い女の子なんだ?
「早太さん!分かりました!」
 コンパクト型スパコンをいじっていたラミエルが急に叫んだ。
「桂木さんも!彼女がどんなイメージを夢の形で送っていたのか、解析できました」
 俺と二尉は飛びつくようにラミエルの手元をのぞき込む。そこには麻耶の乗る2号機が、何か別の物体に見えていてそれにあの女の子たちが群がっている光景が映っていた。
「拡大します」
 そうラミエルが言うと、スパコンのスクリーンから1メートル四方ぐらいの馬鹿でかい立体映像が宙に浮かんできた。それを見つめて俺はラミエルに思わず聞き直した。
「あ、あの、ラミエル……彼女たちの目には2号機がこれに見えているという事か?」
「はい、そうです。ユミエルさんのテレパシーでそういう幻覚を見せられているのです」
「つまり、あの女の子たちの目には2号機が、その……幻の超過激発禁BLコミック、新装復刻初回限定版、先着百名様豪華特典付録付き、ドラマCD封入セット、期間限定発売……の山に見えている、という事なのか?」
 無言でこっくりとうなずいたラミエルから視線を地上に戻した俺は、やっとあの予告状のメールの文面の意味する事に気がついた。
「そうか、腐海というのは……」