「じゃ、じゃあ、あの二人は、そのマクスウェルの悪魔……そういう事ですか?」
「ま、一応女性みたいだから、悪魔は可愛そうね。当面、マクスウェルの魔女とでも呼ぶ事にしましょう。あのストレートロングが1号、ツインテールの方が2号」
「マクスウェルの魔女、1号と2号か」
「ところで、例の話はどうする?」
 突然二尉が話題を変えたので俺はちょっと面食らった。ああ、この二尉の手伝いをしろって話か。けど、それはあの宇宙人と戦うって事になるわけで。ラミエルの記憶が戻ったのは心強いが、今回、ラミエルは故郷の惑星からの支援は受けられない。しかも相手は超能力者。俺たちが手伝ったところで、どうこう出来る話か?しかし、もしあの二人が地球を征服してしまったら、俺とラミエルの生活も将来もなくなってしまうわけで……
 頭を抱えている俺を尻目に、麻耶が二尉に食ってかかった。
「ちょっと!自衛隊ではいくら偉いのかもしれないけどね。あたしたちは単なる民間人、しかも未成年なのよ。それをそんな危険な……」
 それを笑って聞き流すように、二尉が麻耶の顔の前に紙きれを突き出した。次の瞬間、麻耶は厳粛な表情で俺とラミエルに向き直って言い渡した。
「いいこと、兄さん、ラミちゃん!地球防衛という崇高な任務のためにしっかり働くのよ!あたしも全力でサポートするわ!」
「こら、待て!また180度態度変えやがったな!」
 その紙きれを二尉から見せてもらっていたラミエルが、感嘆の声を上げた。
「まあ!時給換算で九千円ですって。早太さん、これってすごいんですか?」
「そういう事か!麻耶、てめえ、実の兄を金で売る気か?」
 例によって、そんなわけで、俺たち三人は桂木二尉の下で、地球防衛と言う名のアルバイトをする事になった。