ありえない彼氏

「翔太ぁー…」

『由香っ!?ごめんね、帰ってくるの遅くなって…。今、やっと駅に着いて…っ、今すぐ由香に会いたいんだけど、俺、塚原の家知らない…』


佳織に無言で手渡されたケータイを耳に当てると、申し訳なさそうな、大好きな声が聞こえて。


ちなみに塚原っていうのは佳織の名字ね。


それは佳織にも聞こえてたらしく、佳織は小さく溜め息をつくと、「早く帰れ」と口パクで言った。


(ありがとう、佳織…)


「…翔太、今から帰るから家で待っててくれない?」

『うぅ…わかった…。早く帰るから、由香も気をつけて帰ってきてね?あと…塚原にありがとって言っといて?』

「うん…っ。私もできるだけ早く帰るから!」


そう言って電話を切ると、佳織に上着を渡される。


「はい。早く帰りなさい。あと…誕生日おめでと。」

「佳織…っ!ありがとっ!!」


佳織は私に小さなラッピングされた小包を渡すと、軽く背中を押してくれた。


私はもう一度、「ありがとう」と言うと、急いで家へと向かった。