ありえない彼氏

「おいこら天宮ぁ!!あんた今までどこ行ってた!?」

「ちょっ…佳織!?」



ケータイに向かって叫ぶ佳織を慌てて押さえる。

…が、ギロッと睨まれて私はおずおずと手を離した。


えっと…、怖いです佳織さん……。



するとケータイから困惑したような声が聞こえて。


『えっ…ちょっと出掛けてて、電車が止まっちゃって……って、由香は?俺、由香のケータイにかけたはず…』

「由香はあんたがいないから私の家で寂しそうにしてんのよ!!」

『ウソッ!!由香ぁーっ!!由香、由香っ!!ちょっ、おま、由香に代わって!』



佳織の怒鳴り声に混じって聞こえる、翔太の声。


それを聞いただけで悲しくもないのに、安心したせいか目が少し潤んだ。