妹神(をなりがみ)

 俺が呆然として何も言えないでいると母ちゃんが横から助け船を出してくれた。
「雄二。例の連続殺人が始まったのはいつだった?」
「え?ああ、確か今年の……あっ!四月!」
「実はお婆ちゃんの方からあたしに電話があったのよ。お婆ちゃんは雄二の事を知っていたからね。それで美紅がカンダーリィになった日時を聞いてみたら、最初の事件が起きたのと同じ日、ほぼ同じ時刻だったのよ。美紅はあんたに危険が、それもこの世の物ではない何かが絡んだ異常な危険が迫っている事をユタとしての霊能力で感知した。あんたという実の兄が自分にいる事実すら知らなかったのに……そういうわけだったの」
「じゃから、雄二。美紅がおまえの所へ行ったのは琉球の神さんが決めたお告げじゃ。じゃから、おまえが礼を言う事はない」