妹神(をなりがみ)

「そう。長崎に落とされた原子爆弾よ。あたしが調べたところでは、百合子さんのお婆さんがいわゆる被爆者だったの。それも百合子さんのお母さんがお腹にいる時に原爆に遭った。命は取りとめたけど全身にひどい火傷の痕が残ったそうよ。そして百合子さんのお母さんも体内被爆と言って、放射能の影響で生まれつき原爆病を背負ってしまった。百合子さん自身は一見異常はなかったけど、放射線によってお母さんに引き起こされた遺伝子の異常は受け継いでしまった。百合子さんの場合、それが超能力者として発現した」
「でもさ、だったら純のお母さんって有名人だったはずじゃ?」
「お婆さんが一生ひどいケロイドを負っていたし、百合子さんのお母さんも原爆病という事でさんざん差別されたらしいわ。百合子さんも『化け物の子』とか言われた時期があったみたいね。そして当時のマスコミが、面白半分に百合子さんの超能力を取り上げた。でも、最後にはインチキだって事にされて、科学的な説明とやらで否定されて、そのまま忘れ去られた。まあ、よくある話よ」
「あのさ……俺がこのセリフ言うのもどうかと思うけどさ……キリシタンの時代と言い、その原爆病の話と言い、純のお母さんのその扱いと言い、それって要するに、今で言う『いじめ』なんじゃねえの?」
「そう、前にも言ったでしょ?大人の世界にだって、いじめなんてありふれてるって。いじめって人間の性なのかしらねえ」