「できるんだ!実は悟が殺された時、俺は一緒にいたんだ。これは警察には内緒にしているけどな……そして俺もその時純の幽霊に襲われそうになった。でも俺はまだこうして生きている。だから、おまえを守る事も不可能じゃない……そうだろ?」
「な、なんだって!……ちょっと待て!おまえ、その時一体どうやって助かったんだよ?相手は呪いの力で人を殺せる幽霊なんだろ?」
「俺を守ってくれる霊能力者がいるんだ。詳しい事情は今は話せないが、俺の妹なんだ。そして沖縄のユタという、不思議な霊的な力を持っている。その妹がその時俺を純の幽霊から守ってくれた……もっとも悟は助けられなかったけど、でもそれは最初からその場所にいなかったからなんだ」
「おまえの妹?おまえ、一人っ子だったんじゃ?」
「だから、いろいろややこしい事情があってずっと俺自身も知らなかったんだよ。とにかくその妹、美紅って名前なんだが、そいつなら純の幽霊と正面から戦える。俺がこうしてまだ生きているのがその証拠だろ?」
「そ、その、おまえの妹が俺を守ってくれるのか?」
「そうだ!もしおまえが殺されたら次はこの俺自身だ。その辺の事はもう分かってるんだろ?」
 隆平は力なくうなずいた。目にほんの少しだけ生気が戻ったような感じがした。
「だから俺とその妹がおまえを守る。そのためにおまえの家のすぐそばに待機しておく。純の幽霊が来たらすぐに駆け付けられるようにな。だから、おまえも俺たちに協力してくれないか?」
 隆平は突然ぼろぼろと目から涙をこぼし、床にへたりこんで俺の腰のあたりにしがみついてきた。そして大声で俺に言う。
「頼む、だったら俺を助けてくれ!死にたくないんだ!死にたくないんだよ!」
「ああ、分かってる。だからとりあえず部屋から出て下に来い。その霊能力者の妹も今ここに来てるんだ。だから、今はおまえは安全だ。だから、なっ」