翌日の放課後、俺と美紅は絹子と一緒に校庭の隅の「生き物小屋」にいた。俺の学校では「都会の青少年に生き物との触れ合いを」という校長の方針で子ヤギを飼っている。生徒が交代で世話をする事になっていて、その日は絹子がその当番だった。そこで俺たちも付き合ってやったわけだ。
まあ、俺としちゃ、こんな大都会の真ん中で狭い小屋に閉じ込められて飼われるヤギの方こそいい迷惑なんじゃないか、と思うんだが。
絹子は子ヤギに餌をやりながら、昨夜の俺たちのやり取りを聞かされて、しきりにうなずいていた。
「ああ、分かる、分かる、それ。いじめやってる連中って自分では全然自覚してないのよね。あたしの小学校の時にもそういうのあったよ。さすがに自殺とかまでは行かなかったけど」
絹子は子ヤギの背を撫でながらそう言う。へえ、絹子にもそういうのを見たり聞いたりしたことがあるのか。じゃあ、いじめって結構世間にありふれた話なのかもしれないな。俺が真剣な顔になったのを見て、あわてて絹子がつけ加える。
「ああ、でも、あたしも雄二の言う事は信じるわよ。そういう誤解って一度起きちゃうとどうしようもないのよねえ。雄二のお母さんが言ってたように、その、純君って子の気持ちも分からないじゃないわよね」
俺もこの日ばかりは毒舌漫才で返す気にはなれない。
「いや、そう言ってくれると少しは気が楽になるよ。あ、ただ、この話、あの住吉って番長のグループには言うなよ。力になります、とか言ってきそうだけど、話がややこしくなるからな」
美紅が全然話に入って来ないので顔を向けると、我が妹は無言でジーっと食い入るように子ヤギを見つめている。絹子もその様子に気がついて美紅に声をかけた。
「美紅ちゃん、ヤギが珍しいの?沖縄にはヤギはあんまりいないのかな?」
まあ、俺としちゃ、こんな大都会の真ん中で狭い小屋に閉じ込められて飼われるヤギの方こそいい迷惑なんじゃないか、と思うんだが。
絹子は子ヤギに餌をやりながら、昨夜の俺たちのやり取りを聞かされて、しきりにうなずいていた。
「ああ、分かる、分かる、それ。いじめやってる連中って自分では全然自覚してないのよね。あたしの小学校の時にもそういうのあったよ。さすがに自殺とかまでは行かなかったけど」
絹子は子ヤギの背を撫でながらそう言う。へえ、絹子にもそういうのを見たり聞いたりしたことがあるのか。じゃあ、いじめって結構世間にありふれた話なのかもしれないな。俺が真剣な顔になったのを見て、あわてて絹子がつけ加える。
「ああ、でも、あたしも雄二の言う事は信じるわよ。そういう誤解って一度起きちゃうとどうしようもないのよねえ。雄二のお母さんが言ってたように、その、純君って子の気持ちも分からないじゃないわよね」
俺もこの日ばかりは毒舌漫才で返す気にはなれない。
「いや、そう言ってくれると少しは気が楽になるよ。あ、ただ、この話、あの住吉って番長のグループには言うなよ。力になります、とか言ってきそうだけど、話がややこしくなるからな」
美紅が全然話に入って来ないので顔を向けると、我が妹は無言でジーっと食い入るように子ヤギを見つめている。絹子もその様子に気がついて美紅に声をかけた。
「美紅ちゃん、ヤギが珍しいの?沖縄にはヤギはあんまりいないのかな?」



