「ニーニ……ニーニ、起きて」
 その声と肩を揺さぶられる感覚で目を覚ましたのは夜中の二時過ぎだった。なんだよ、こんな時間にと文句を言おうと思って、しかし俺は緊張でガバっと起き上った。
 美紅はあの神がかり状態の凛とした顔つきの美紅だった。既に制服のセーラー服に着替えている。
「お母さんも今準備してる。ニーニも早く着替えて」
 俺は枕元の自分のリュックを手探りで手繰り寄せながら美紅に訊く。
「何かあったのか?」
「あの女の人が……来た」