どのくらいそのままでいただろう。
柊二の携帯がなるまで私はずっと柊二を抱き締めていた。

携帯の音で、はっと我にかえったような気がした。
頭に司の顔がちらついた。
『あたし、帰るわ。拓、そろそろ起きるだろうから。じゃね。おじゃましました。』
私は急いで、その場を立ち去る。

今になって心臓がドキドキいってる。

少し罪悪感があるけど、あのままの柊二をほっとけなかった。

それから1週間くらい、あんまし顔を会わせなかった。
なんだか柊二も忙しそうで、車がない日が、しょっちゅうあった。

そんな時、うちの母が、りんごをたくさん持ってきた。
柊ちゃんに元気だすように、少し持っていってあげなさいと…

なんとくあれ以来だったからドキドキしたけど柊二の家のチャイムをおした。


めずらしく走ってこっちに向かってきてるようだ。

玄関をあけると、
『おう、どした?』
といつもの柊二。
『あのね、このりんご…』
と言いかけて下を見た。そこには見慣れないピンヒールのパンプス。

家の奥の方をみると髪の長い女性がソファに座っていた…