司は何事もなかったように、私達の元にもどってきた。


家に帰って…
『あのね司…』
私が言いかけると
『全部聞いた。前田さんから。前田さんから口止めされてた事も。二人して嘘つかれてたって思うとホントショックだよ。とくに南からの嘘は。でも二人の嘘は俺に余計な心配とかかけさせない為の嘘だと俺は信じる。信じるからな。けど、もう嘘つかれんのはイヤだ。二度と嘘はつかないって約束してほしい。』
『約束…する。ホントごめんなさい』

『よし!じゃあこの話は終わり。今度の日曜久々、どっか行こっか』

司は、そのあと嫌な顔ひとつ私に見せない。私を責める事もなかった。
私は司のやさしさに甘えた。
柊二も全てを自分のせいにしてくれた。


ホントに私はズルイ女だ。
どっちの前でも、いい顔をする。

司に心配かけたくなかったからついた嘘じゃない。
ただ知られたくなかったから。
私が言えなかっただけだ。
司も柊二も、どっちも好き。


神様、どっちも失いたくないと言ったら怒りますか…