数週間後-------

沖田さんの病状は明らかに悪化していた。

巡察にも出れず、部屋も別々になった。

そして、沖田さんと会う機会を減り
たまに廊下でしかすれ違わなくなった。

時々、由葵が沖田の部屋に
様子を見に行ったりしていたが
由葵が見ても沖田の病状は
最悪なものだった。


由葵は沖田の部屋に向かう廊下で
考えていた。

あの氷上家秘伝の薬を使えば沖田さんは
きっと良くなるはず。
でも、そうやって歴史を変えて
いいのかな・・・。

由葵はこのところそればかり
考えていた。

沖田さんには生きてほしい。
もっともっと。
けど、歴史を変えた所で
未来に影響はないのかな?

沖田の部屋に近づくにつれ
話し声が聞こえてきた。

この声は・・・。

沖田さんに
齋藤さん?


「僕は平気です。
 早く刀を返してください!」

「しかし、総司。
 お前は無理をしてはいけない体だ。」

「無理なんてしていません!
 新撰組のため、近藤さんのために
 この命を使えるのなら本望です!!」

沖田さん・・・。

由葵は盗み聞きという罪悪感と
悲しみから自分の部屋に戻ってしまった。

由葵が完全にいなくなった頃、
まだ、部屋では言い争いが続いていた。

「・・・。その言葉、氷上の
 前でも言えるのか?」

「・・・。」

齋藤はため息をつき

「昔のお前の考えはそうかもしれない。
 だが、今は違うんじゃないのか?」

「・・・。」

「もう一度、考えてみろ。 
 自分の本当の気持ちを。」