「ふう~・・・。」

「なんとか、終わりましたね・・・。」

私は山崎さんと怪我人を
治療し終えた。

怪我人たちは今、みんな同じ部屋に寝ている。

怪我人はざっと20人ほど。

ぎゅうぎゅうづめで
寝ていた。

そして、2人で土方さんに報告に行く。

「土方さん。全員の治療が終わりました。」

「おお。ご苦労。
 で、調子はどうだ?」

「はい。みんな意識がありますし、
 重症の隊士も中にはいましたが
 由葵の治療によって、順調に
 回復しています。」

「そうか、ご苦労だったな。
 山崎はもう、戻っていいぞ。」

「はっ。」


山崎さんが素早く土方さんの部屋から
出て行った。

「氷上・・・。総司のことなんだが・・・。」

「・・・。」

「・・・ただの風邪だそうだ。」

私は土方さんの目を
見据えた。
"それは本当ですか"という
疑問の目で。

土方は耐え切れなくなったのか
由葵から目をそらした。

2人の間に沈黙が走る。

実のところ、今、沖田は屯所にいない。

あの池田屋事件の後、
体調を崩し、遠くにいる
先生のもとに検査しに行っている。

由葵はきずいていた。
沖田があの病にかかることを。
由葵は未来から来た人間だから
沖田のことを知っている。

こんなことが来るということは
分かっていた。

しかし、実際のところ
由葵たちが幕末にきたということで
少しずつではあるが
歴史が変わっていた。