由葵は妖怪たちの返り血を浴びていた。

あ~あ、せっかくの袴が
汚れちゃった・・・。

由葵は屯所に戻ろうと
塀を超え、部屋に戻る
廊下で沖田に遭遇した

「あれ?由葵さん、どうしたんですか?」

暗闇の中なので沖田に
由葵の返り血ははっきりとは見えていない。

「・・・厠を探していまして。」

「そうですか。
 案内しましょうか?」

「いえ、さっき、見つかったので。」

由葵はそれだけ言うと
すぐに沖田のわきを
通り過ぎて行った。

危ない危ない。
沖田さんに返り血を見られたら
なんて言われるか。

だが、沖田は気づいていた。

返り血を見ることはできなかったが
異様なにおいがしたことに
気づいていた。

あの匂いは一体?
血のようなにおいがしたけど
人間の血のようではなかったし・・・。

・・・気のせいかな?

そう自分に言い聞かせ、
沖田は歩いて行った。