恋なんて錯覚。

修行をするのには邪魔な存在。

由葵はそう思っていた。

けれど、幕末に来て
新撰組出会い、恋をして
変わった。

だが、その時のことを
由葵は全く覚えていない。

でも、どうして、胸が痛いの?
恋は錯覚でしょ?
私には必要のない感情でしょ??

・・・沖田さん。
私はこれ以上錯覚に囚われないために
はっきりと白黒つけさせてもらいます。


スッ-------

「由葵さん。失礼します。
 調子はどうですか??」

「お帰りなさい沖田さん。
 だいぶ楽になりました。」

「そうですか。それはよかったです。」

「沖田さん。聞きたいことがあります。
 沖田さんは恋をしていますか?」

「はい、していますよ。」

「恋は楽しいものですか?」

「・・・。そうですね。
 僕が好きな人は僕に全然
 興味を示さなくなったんですよ。」

「?」

「僕の命を助けるために
 その人の「好き」って気持ちと
 交換したんだそうです。」

「じゃあ、沖田さんは、両想いだったってこと
 ですか?」

「はい。たぶんですけどね。」

ズキンッ

ほら、それを聞いただけで
胸が痛い。
なんなの、この邪魔な感情は?

やっぱり、私には邪魔な存在でしかないんだね・・・。

「でも、そんな不思議なことってあるんですね。」

「・・・。僕でも驚いています。
 その人に「恋をする気持ち」がなくなった
 って聞いたとき、悲しかったです。
 しかも、自分のせいだとわかったら余計に。
 でも、それくらい僕を助けたかったんだって
 それくらい僕のことを好いてくれていたんだって
 土方さんが教えてくれた時は涙が出そうでした。」
 
そういう沖田さんの目は悲しそうで。