熱が出た。

夏場に良くある、冷房病ってやつだ。

それで、学校を休んだ。

父さんも母さんも、一階で営む酒屋で働いている。


──つまり、家には私一人ぼっち。


「おばあちゃんに来て貰おうか?」

「…お願い…」

あの母さんとの会話は幻だったのか。昼を過ぎても、近所に住むはずのおばあちゃんは現れない。


私はいい加減お腹も減ったので、冷蔵庫を物色することにした。

重い頭を持ち上げると、ベタつく髪が口の中に入ってくる。

私は階段を降りて、キッチンに向かった。

朝ごはんの時に残したピザが、そのままゴミ箱に捨ててあった。

──病人にこんなの食べさせないでよね…

ムカムカする胃の辺りを押さえつつ、私は冷蔵庫を開いた。

──はぁ…こんな時におばあちゃんがいたら、おじやの一つも作ってくれるのになぁ…

殺風景な冷蔵庫を眺めて、私は溜め息をついた。


その時、だった。