雪解け水

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「落ち着いたか?」


「うん、ありがとう。」


あの後…少しの間ルイの腕の中で過ごし、働いていなかった頭を整理し、正常に戻した。

といっても、嫌なことに蓋をしただけだけど。


ふいにさっきのことを思い出して尋ねてみる。

「ねぇ、アタシどんな顔してたの?」


「ん、泣きそうな顔?」

と、今まで真っ暗だった部屋の電気をつけながら答えるルイ。


ていうかなんで疑問形なのよ。
質問してるのはこっちなんだから。

それに…

「あいにくアタシは涙なんて出ませんから。」


アタシは涙を流さない。
というより泣けないと言ったほうが正しいか。

とうの昔に涙なんてきえた。
最後に泣いた日なんて全然覚えてない。




*