雪解け水

「じゃあ聞く。
家のチャイム何度鳴らしても無反応、電気もつけてない、おまけに家の鍵が開いてる、これのどこが普通なんだよ。」

……。


「全然気づかなかった。」


チャイムなんて鳴ってたんだ。

あの人が出掛けてからどうやって自分の部屋まで来たかも覚えてないし。







ふわ――…

ふいにルイの腕に包まれた。


「悪い、思い出させて。話さなくていいから。んな顔すんな。」


低い声にいつもの香水がとても落ち着く。




*