はつこい・いちご【短編】

つかんでいた。


ファウルボールを。


野球なんて、キャッチボールすら
マトモにやったことのない私が。


目を開けば、顔を庇うようにして
前へ出した手が、
小さな白球を、
しっかりと握っていた……。


「スゴいじゃん!
アンタ野球やってたの?」

エリが興奮している。
周りの人たちも。


でも、私の目には、
彼らの姿は映っていなかった。



……石田くんだ。


ライトを守っている彼が、
騒ぎを見つめていた。