"出来るよ"そう言ったあたしの手を引いて歩き出した舜。
そのあとを修夜たちは有無言わず付いてきてあたしたちはそのまま駅へと向かった。
駅まで行く間ずっと繋がれていた手はずっと熱を持っていた。
「はー…」
「何だよその溜め息」
「何かもう当分会えないんだなって思うと………出ちゃった♪」
修夜は明るく笑いながらそう言ってみせたけど、そのあとの表情は初めて見るものだった。
暗くて舜の目なんか見てなくて俯いて無理して笑ってるようだった。
あたしだって寂しくなる。
でもそれと同じくらいいつも一緒にいた修夜も寂しくなるんだ。
洸太も普段落ち着いてるのに涙目になってるのは気のせいかな。
奈留も俯き加減でいつもみたいに笑ってないのは気のせい?
寂しいのはあたしだけじゃない。
泣きたいのはあたしだけじゃない。
辛いのはあたしだけじゃない。
自分が一番辛いんだと思ってたあたしは、この時周りを見れるようになって自分だけじゃないんだと実感した。
「付き合ってる訳じゃねぇんだから、そんな顔すんなよ」
いい雰囲気の中、悲しみを顔に露わにしてる修夜に舜がそんな冷たい言葉を浴びせる。
その舜の冷たい言葉で修夜はいつもの口調が戻ってしまい………
「何だよ!人がせっかく今から悲しみの涙を流してやろうと思ったのによー」
当然雰囲気は壊された。
「気持ち悪いから止めろ」
「男泣きっつうのはかっこいいんだよ。分かってねぇなぁ男前の舜さんは」
.



