「引いたりしないよ」



だってあたしも泣くと思うもん。

たぶん奈留より早く泣いちゃうと思う。

なにげに泣き虫だから。



次々に呼ばれていく卒業生の名前が同じテンポで呼ばれていくのが心地よく感じられる。



「あたしさぁ、本当は実紅ちゃんって気付かなかったんだ」

「…え?」

「最初、入学式でクラス発表された時に声掛けた時」

「…。ああ!」



あまりにも大きい声を出してしまったあたしに視線が一気に集まる。



…やば……



「ははっ、実紅ちゃんが元気になってくれてよかった」



そんなあたしを奈留は嬉しそうに笑った。



「実紅ちゃん最近元気なかったから心配だったんだ」



そう言った後、奈留は名前を呼ばれてすぐに表彰状を持って帰ってきた。



その後あたしも名前を呼ばれ表彰状を貰い、無事に卒業式を終えることが出来た。



卒業生たちの中には、卒業式が終わり体育館の外へ出ると同時に大泣きする人もいた。



教室に入ると大泣きする人はいなかったけど、感情を抑えられなくて泣いてる人はいる。



みんなが卒業したことで涙してる中、あの男三人はいつもと変わらず話してるだけ。



「ほんと、あの三人って周りに流されないタイプだよね」



奈留も前の席の方で話してる三人を見ながらそう呟いた。



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