「あの顔は一生忘れねぇな」


「…なっ、忘れてって言ったじゃん!」


「忘れられるわけねぇだろ、あんな酷い顔」


「ひどい…」



冬休みの最初は、舜の見送りから始まった。



修夜も洸太も奈留も

涼介も空も亜実奈も

みんな見送りに来てくれた。



あたしだけが涙ぐんでいて、今にも大泣きしそうなくらいの勢いだった。



みんなは笑顔で、本当の別れじゃないのに1人ずつ思い思いの言葉を舜に口にした。



…それなのに…



「わざわざ来なくてもいいのに。冬休みの間いねぇだけだぞ」



主役の本人様は、風邪を引いたのか鼻声で偉そうにそう言った。



「ひどっ!みんな寒い中来てくれたのに」


「冗談だよ」



ポンポンと頭を優しく叩かれ、次にぎゅっと抱き締められた。



え、あ、え……。



みんながいるっていうのに何も気にしてない舜は普通に力強くあたしを抱き締めた。



まるで舜には周りが空気のように見えているのか、


抱き締めている力を弱めて腰を屈め、あたしに顔を近付けてきた。



「…ちょ…」



あたしはその顔を阻止しようとした。



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