レッスン2


「はー、やっぱり。私よりもたーちゃん向きだと思ったんだー」

 うっとりと両手を合わせて頬に添える横顔を、千帆は思いきり見つめていた。

遠慮なしの視線に奏よりも先に自分で気付き、あわてて目を踊らせる。

 青山奏出現。

それは衝撃の瞬間だった。


……この子が本当に?

 本人の言う通り、確かにちっとも似てはいない。

髪は黒くて目も黒い、ってだって日本人なんだから当たり前、それは。混乱しすぎだ。


 ピアノの天才。

参加年齢に達するのを、世界中のコンクールが待っているという噂の少女。

その才能面からすると、裕明のいとこでもおかしくはないと思う。